評論家レビュー : SE-MASTER 1

仕事に趣味に、欠かすことのできない、とてつもなく素直なサウンド。 中林 直樹

いまとなっては、仕事用のリファレンスヘッドホンとしても、純粋に音楽を楽しむための趣味用ヘッドホンとしても欠かせない存在となっているのが、何を隠そう、この「SE-MASTER1」である。

きっかけとなったのは、レビュー記事のために試聴機を2週間ほど借用したとき。正確には、試聴機を返却したあとの話なのだが、あるメーカーのヘッドホンアンプを試聴したところ、組み合わせたヘッドホンのサウンドキャラクターが邪魔に思えてしまい、製品の音色的な特徴をつかむのにやたらと時間がかかってしまったのだ。最初は相性問題かと思い、ヘッドホンをいくつか交換してみたのだが、音色は変われど“ヘッドホンアンプの特徴が素直に現れてこない”と感じてしまう傾向は同じ。体調や気分までも疑い、翌日改めて試聴を行ったのだが、印象はほとんど変わらなかった。

そこでハタと気がついた。耳が、というか脳が、わずか2週間のあいだに「SE-MASTER1」のとてつもなく素直な音に慣れてしまい、それまで愛用していたヘッドホンの音を“個性的”と感じるようになっていたのだ。そう、「SE-MASTER1」は、高解像度&キレの良い抑揚表現&丁寧で細やかなニュアンス表現など、クォリティ面での素晴らしさはもちろんのこと、それに加えて、とてつもなく素直なキャラクターを持ち合わせている。こちらがヘッドホンのキャラクターを脳内で差し引きしなくても、ヘッドホンアンプやプレーヤーのサウンドキャラクターが明確に把握できるのだ。試聴用のリファレンスヘッドホンとしては、このうえないほどに理想的な存在だったりするのだ。

ホント、慣れって怖い(笑) これはもう、「SE-MASTER1」を入手するしかないと決心して、その1週間後には製品をゲット。以来、製品試聴用のリファレンスヘッドホンとして、あちらこちらで大いに役立ってもらっている。

このように、最初は仕事用として活用していた「SE-MASTER1」だが、そのうちに、別の活用方法を思いついた。とても素直なサウンドなので、ヘッドホン以外の製品のサウンドキャラクターを最大限楽しみたいときには、なかなかに有用なのだ。
以来、好みの楽曲を愛用の真空管アンプで楽しむときなどには、積極的に「SE-MASTER1」との組み合わせを利用している。

このように「SE-MASTER1」は、仕事に趣味に、いまの僕にとって欠かすことのできない存在となっている。ぜひ皆さんにも、その饒舌かつ素直な表現を体験してみて欲しい。

野村 ケンジ
オーディオ&ビジュアルライター

自動車雑誌の編集を経てフリーランスとなる。学生時代から続けている趣味の楽器演奏が嵩じて、オーディオビジュアルの分野にも活躍の場を広げる。近年では、カーオーディオ、ホームシアター、真空管オーディオなどに加えて、PCオーディオやヘッドフォンの音質リポートも数多く手がけている。特にヘッドホンは、年間100以上の製品を試聴しつつ、最新の動向をくまなくフォローしている。

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